こんにちは、行政書士事務所の開業準備を進めているまえかわです!

前回は、お酒の免許には「店舗用」と「ネット通販用」があり、それぞれに扱える商品のルールが全く違うというお話をしました。

「よし、自分のビジネスにはこの免許が必要だ!」とターゲットが決まったら、次はいよいよ「自分(または自社)がその免許をもらえる資格があるか?」のチェックです。

実は、お酒の免許は「やる気」や「ビジネスモデル」以前に、申請者の「過去」や「お財布事情」を非常に厳しくチェックされます。今回は、申請前に必ず確認しておくべきハードルについて深掘りしていきましょう!

1. 過去の「うっかり」が命取りに?「人の要件」

まずチェックされるのが、申請者(法人の場合は役員全員)が、お酒を売るのにふさわしい人物かどうかという点です。これを「人的要件」と呼びます。

特に注意したいのが、以下のポイントです。

  • 税金の滞納がないか? 「過去2年間に、国税や地方税を滞納して督促を受けたことがないか」が厳しく見られます。完納証明書の提出が求められますので、もし未納がある場合は、申請前にすべて解消しておく必要があります。
  • 過去の罰金刑など 酒税法違反はもちろんですが、他の法律でも重い罰金刑を受けてから一定期間が経過していないと、門前払いになってしまいます。

「昔の話だから大丈夫だろう」と思っていても、税務署の調査で判明すれば不許可です。不安な方は、まずご自身の納税状況を振り返ることから始めましょう。

2. 「赤字続き」はNG!審査される「お財布事情」

次に立ちはだかるのが、「経営基礎要件」です。国としては、「すぐに潰れてしまうような会社に、お酒の管理は任せられない」と考えるわけです。

既存の会社や個人事業主の場合は、直近3年度分の決算書(収支内訳書)をもとに、以下のポイントをチェックされます。

  • 資本金の20%を超える赤字(繰越損失)が出ていないか?
  • 3期連続で赤字になっていないか?
  • 「債務超過(負債が資産を上回る状態)」になっていないか?

「借金があるからダメ」ではなく、「純資産がマイナスになっていないか」が最大の焦点です。

【Q&A】新規開業の場合はどうなるの?

実績がない新規開業の場合は、過去の数字ではなく「これからの計画」と「個人の信頼」が審査の対象になります。

  1. 自己資金の証明: 事業を安定して継続できる手元資金があるか(通帳のコピー等)。
  2. 個人の納税状況: 会社員だった方でも、個人の住民税などに滞納がないか厳格に見られます。
  3. 収支計画: 「次期収支の見込み」という書類で、早期に黒字化できる現実的な計画を示します。

3. 「具体的で現実的な」収支計画とは?

ここでいう「収支計画」とは、夢を語る事業計画書というよりも、「お金の動きに特化したシビアな計算書」のことです。

  • 売上: 「客単価 × 客数」などの根拠があるか
  • 原価: どこからいくらで仕入れるか(見積書等の裏付け)
  • 経費: 家賃、広告費、光熱費などが漏れなく計上されているか

税務署は「大儲けする計画」を求めているわけではありません。「無理のない計画で、着実に利益を出し、酒税を納め続けられるか」という継続性を見ているのです。ここを論理的に組み立てるのが、私たち行政書士の腕の見せ所でもあります。

4. 「経験」という名の見えない壁

最後にもう一つ。「お酒を扱う知識や経験があるか」も問われます。

  • 酒類販売の業務に3年以上従事した経験がある
  • または、酒類販売管理者の研修を受講し、十分な知識を有している

「全くの素人だけど、明日からお酒を売りたい!」という場合、研修を受けるだけでなく、具体的な管理体制を整えて税務署を納得させる必要があります。

結論:やる気だけでは通らない。数字と経歴の「事前診断」を!

お酒の免許申請は、書類を作る前に「そもそも要件を満たしているか」の健康診断が必要です。

せっかく物件を決め、サイトを作っても、財務諸表の一行や過去の滞納一件で全てがストップしてしまう……。そんな悲劇を防ぐためにも、事前のヒアリングを何よりも大切です。

私も現在、開業に向け、こうした複雑な要件をいかにスムーズにクリアするか、最新の審査事例を日々研究しています。皆様の「挑戦したい」という気持ちを、法務のプロとして全力でサポートできるよう準備を整えています!

【次回予告】第3回:場所が命!「どこで売るか」のルールと注意点

「自分は欠格事由もないし、経営も安定している。よし、自宅で始めよう!」 ……ちょっと待ってください。お酒の免許は、実は「場所」の制限もめちゃくちゃ厳しいんです。 「キッチンと事務所が繋がっているとNG?」「飲食店と併設はできる?」 次回は、物件を契約する前に絶対に知っておきたい「場所的要件」の落とし穴を解説します。

お楽しみに!

「開業準備中(令和8年4月開業予定)行政書士前川翔平事務所」