こんにちは、まえかわです!                                                   現在開業準備中の身ではありますが、日々「暮らしと法律」の接点について発信しています。

最近、メルカリやヤフオクなどのフリマアプリで、サントリーの「白州」やキリンの「陸」といった人気ウイスキーが大量に出品されているのをよく見かけます。

「家にあった不用品を売るだけなら自由でしょ?」と思うかもしれません。しかし、実はその出品、私の視点で見ると「かなり震える光景」であることが少なくありません。今回は、お酒の転売に潜む法的な罠と、意外と知られていない「境界線」について解説します。

1. 「1回だけ」はセーフでも「何度も」はアウト

お酒を売るのに免許が必要な理由は、酒税法という法律があるからです。ここで重要なのは「販売業」にあたるかどうかです。

  • セーフ(免許不要): 「お祝いで貰ったけど飲まない」「コレクションを1回だけ整理する」といった、家庭の不用品処分。
  • アウト(免許が必要): 「利益を得る目的」で、「繰り返し」販売すること。

法律には「月○回ならOK」という具体的な数字は書かれていません。                                   しかし、客観的な状況で判断されます。例えば、「出品している10品のうち8品がお酒」という状況。これは誰が見ても「たまたま不用品が出た」のではなく、「在庫を揃えて商売をしている」とみなされる可能性が極めて高いです。

2. 「不用品処分」と言い張れない?3つのチェックポイント

税務署や警察が「これは商売(転売)だ」と判断する基準は、主に以下の3点です。

  1. 仕入れの形跡: ポイントせどりなどで、転売目的で新品を仕入れていないか。
  2. 特定の銘柄への偏り: 人気銘柄ばかりを狙って繰り返し出品していないか。
  3. 価格設定: 明らかに利益を上乗せした「プレミアム価格」になっていないか。

「不用品処分」という魔法の言葉は、客観的な証拠(出品履歴や購入履歴)の前では通用しません。

3. 「古物商」との決定的な違い:お酒の仕入れは超特殊

以前の記事で「古物商許可」についてお話ししましたが、お酒はさらに複雑です。

古物商なら「中古店や個人から安く買って高く売る」ことが可能ですが、お酒はそうはいきません。実は、お酒の販売免許を持っていたとしても、「個人からお酒を買い取って転売する」ことには、非常に高いハードル(全酒類卸売業免許などとの関係)が存在します。

「古物商の許可があるからお酒の中古転売もできる」という思い込みは、実は非常に危険な勘違いなのです。

4. 「バレないだろう」が通用しなくなっている現状

「匿名配送だし、個人のやり取りだからバレない」……そう思っていませんか?                              最近では、メルカリなどのプラットフォーム側が、税務署からの要請を受けて「販売実績データ」を提供することがあります。

あなたがどれくらいの頻度で、どれほどの利益を上げているか、当局は把握しようと思えばいつでもできる状況にあるのです。データに基づいた調査が入れば、言い逃れはできません。

5. 「知らなかった」では済まされない!ダブル違反のリスク

もし無許可でお酒の転売を続けていた場合、以下の2つの法律に触れる恐れがあります。

  • 酒税法違反: お酒を無免許で売った罪(1年以下の懲役 または 50万円以下の罰金)。
  • 古物営業法違反: 転売目的で仕入れたお酒を無許可で売った罪(3年以下の懲役 または 100万円以下の罰金)。

これらは別々の法律なので、最悪の場合、両方の罪に問われる「ダブルパンチ」のリスクがあります。

さらに、将来的に私のように資格を活かして働きたいと考えている方にとって、罰金刑以上を受けると数年間は登録ができなくなる(欠格事由)という、取り返しのつかない事態にもなり得ます。

6. まとめ

「自分は大丈夫」と思っていても、法律の物差しで見ると真っ黒……というケースは意外と多いものです。     お酒は「口に入るもの」であり「税金」が絡むため、国も非常に厳しく見ています。

正当に、堂々とお酒を販売するビジネスを始めたいのであれば、ルールを守って「免許」を取るのが一番の近道です。

【次回予告】 さて、この記事を読んで「じゃあ、ちゃんとお酒の販売を仕事にするにはどうすればいいの?」と思った方もいるはず。

次回から全5回にわたって、「酒類販売業免許のいろは」を徹底解説する集中連載をスタートします!                    ネットショップでお酒を売りたい方、必見です。お楽しみに!

「開業準備中(令和8年4月開業予定)行政書士前川翔平事務所」