みなさん、こんにちは。 浜松市で開業予定、新城市出身の行政書士・前川です。

連載第2回は、新城市への移住を検討されている方にぜひ知っていただきたい、住居と農地をスムーズに確保するための強力な仕組み「空き家付帯農地制度」と、具体的な手続きのステップについてお話しします。

1. 新城市の「空き家付帯農地制度」とは

新城市では、移住者が「農ある暮らし」をスムーズに始められるよう、空き家バンクを活用した独自の運用を行っています。

  • 制度の概要: 空き家バンクに登録された物件と、その持ち主が所有する農地をセットで取得しやすくする仕組みです。
  • 一括取得のメリット: 本来は農業者でなければ取得が難しい農地も、この制度を利用することで住居とセットで一括して取得しやすくなります。
  • 生活基盤の安定: 住まいと仕事場(農地)がセットで見つかるため、新城市での新しい生活を迷いなくスタートできます。

2. 「営農計画書」作成の3ステップ

農地法第3条の許可を得るためには、農業委員会へ「営農計画書」を提出し、あなたの本気度と計画性を証明しなければなりません。

  1. 正確な「地番」の特定 住所ではなく、登記上の「地番」を一筆ごとに確認し、土地の現状を正確に把握することから始まります。
  2. 具体的な栽培・管理プランの構築 「どの作物を」「誰が」「どのようなスケジュールで」栽培するのか、論理的で無理のない計画を組み立てます。
  3. 通作距離と周辺環境の確認 住居から農地までの距離が適切か、日常的な管理が可能か、そして周辺の農作業に支障を与えないかを具体的に説明します。

3. 新城市独自の「地域のルール」を理解する

新しく新城市で農業を始める際、書類と同じくらい大切なのが、地域で受け継がれてきた「目に見えないルール」です。

  • 水路の掃除と「多面的機能支払」: 集落ごとに、水路の泥上げや農道の草刈りを共同で行う日があります。これらは「地域の財産」を守るための大切な活動です。
  • 水利慣行(水の分け合い): 農業用水を使うためには「水利組合」への加入や、水不足の際に順番で水を使う「番水(ばんすい)」といった決まり事があります。
  • 「耕作放棄地」を作らない責任: 自分の土地が荒れると隣の畑に害虫や種が飛んでしまいます。地域の信頼を得るためには、最後まで責任を持って土地を綺麗に保つ姿勢が求められます。

実は、農業委員会での審査でも、こうした「地域の共同作業に協力する意思があるか」という点は非常に重視されています。

4. 正確な調査と伴走サポート

私は15年間、医療現場で、正確な記録と事実確認を積み重ねてきました。この「エビデンス(根拠)」を重視する姿勢は、行政書士としての調査業務でも全く同じです。

  • 地域のルールを「翻訳」: 新城市出身だからこそわかる地域の状況を踏まえ、移住者の方が戸惑いやすい地元の習慣を丁寧に解説します。
  • 根拠に基づいた説明: 営農計画書の中で、単に「野菜を作ります」だけでなく「地域のルールを遵守し、管理に貢献します」という姿勢を論理的に示し、行政や地域の方々に安心感を与えます。

まとめ:理想の「拠点」を確実に手に入れるために

今回のポイントを整理します。

  • 空き家バンクを活用する: 制度を賢く使うことで、住居と農地をセットで確保する難易度が下がります。
  • 「地域の一員」としての計画を: 書類には、栽培計画だけでなく地域の維持管理への協力姿勢も盛り込みましょう。
  • 精密な事前調査が鍵: 地番単位での正確な調査が、後々のトラブルを防ぎます。

理想の土地が見つかっても、地域のルールや手続きでつまずいてしまっては時間がもったいありません。正確な事務手続きを通じて、あなたの挑戦を形にするサポートをいたします。

次回はいよいよ最終回。「手続きの完遂と、就農後のリスク回避」について解説します。どうぞお楽しみに!

「開業準備中行政書士前川翔平事務所」