みなさん、こんにちは。4月に浜松市で行政書士事務所を開業予定の前川です。
前回までは、農地転用の「場所(立地基準)」と「中身(一般基準)」という、いわば「許可をもらうための高いハードル」についてお話ししてきました。
「農地を手に入れるのって、そんなに大変なの?」と、少し気圧されてしまった方もいるかもしれません。特に、「田舎暮らしに憧れて、空き家と一緒に隣の畑も手に入れて家庭菜園をしたい」という夢をお持ちの方にとって、従来の農地法はかなり厳しい壁でした。
しかし、私の故郷でもある新城市のように、移住・定住を促進している地域では、その壁を低くする「特例」があるのをご存知でしょうか? 今回は、空き家バンクを活用した耳寄りな情報をお届けします。
1. なぜ「空き家の隣の畑」を買うのが難しかったのか?
通常、農地を農地のまま売買(農地法第3条)する場合、これまでは「下限面積」という制限がありました。
- 「耕作面積が50アール(5,000㎡)以上にならないと、農地を買う権利を認めない」
というルールです(※地域により異なります)。これは「中途半端な広さで放置せず、専業農家としてしっかりやってくださいね」という国の考え方でしたが、家庭菜園を楽しみたい移住希望者には、あまりにも広すぎる面積でした。
2. 新城市の「空き家バンク」がもたらす魔法の特例
令和5年に法律が改正され、全国的にこの下限面積制限は廃止されましたが、それでも「農地を取得して農業を継続すること」という原則は残っています。
そこで注目したいのが、新城市などが取り組んでいる「空き家付帯農地」の制度です。
- 下限面積の引き下げ: 空き家バンクに登録された物件とセットであれば、わずか「1㎡」や「100㎡」といった小さな面積からでも、農地の取得が認められる特例があります。
- 「農地付き空き家」のメリット: 本来なら農家でないと買えないはずの農地が、空き家を買うことでセットで手に入る。これにより、「朝起きてすぐ隣の畑で野菜を収穫する」という理想の暮らしがぐっと現実味を帯びてきます。
3. 移住・定住を後押しする「緩和の波」
新城市では、移住者が空き家を改修して住む場合、農地の取得だけでなく、その後の「転用(駐車場にする、庭にするなど)」についても、地域振興の観点から相談に乗ってくれるケースが増えています。
「農地だから無理だ」と諦める前に、その土地が空き家バンクに関連しているかをチェックすることが、失敗しない土地選びの第一歩です。
まとめ:地域に根ざしたルールを知ることが近道
農地法は全国共通の法律ですが、実はその運用や特例は、新城市や浜松市といった自治体ごとに特色があります。
「自分のやりたい暮らし」に、どの特例が当てはまるのか。それを知るだけで、何年も悩んでいた土地の問題が、パッと解決することもあるのです。
次回は最終回。【解決編】「プロに頼むと何が変わる?行政書士の仕事術」としてお話しします。
4月の開業に向けた私の想いも少しだけお伝えできればと思いますので、最後までお付き合いください!
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